『ドラゴンボール』には、原作を何度読んでも分からない驚きの裏設定が数多くあります。
悟空がサイヤ人であることさえ最初から決まっていたわけではなく、人造人間編では敵の中心人物が編集者の一言によって何度も変更されました。
さらに「フリーザ編で連載を終える予定だった」「悟飯は人気が落ちたから主人公を降ろされた」など、長年事実のように語られている説にも意外な真相があります。
鳥山明氏本人の発言や公式資料を中心に、『ドラゴンボール』を知っているからこそ面白い裏設定を紹介します。

世界中で人気の鳥山明氏の名作『ドラゴンボール』を楽しめる完全版・全34巻完結セット。
悟空たちの冒険や迫力あるバトル、数々の名場面を最初から最後まで一気に味わえます。
何度でも読み返したくなる、手元に置いておきたい名作セットです。
悟空がサイヤ人なのは最初から決まっていなかった

現在では「悟空=サイヤ人」は『ドラゴンボール』の基本設定ですが、第1話から考えられていたわけではありません。
鳥山明氏は、悟空に尻尾を付け、大猿へ変身する設定を作った時点では、悟空を宇宙人だとは考えていなかったと明かしています。
つまり、少年時代の悟空が満月を見ると大猿になることも、最初からサイヤ人への伏線として描かれていたわけではなかったのです。
ラディッツが登場して「カカロット」という本名やサイヤ人という出自が判明したことで、それまでの設定が後からきれいにつながりました。
さらに驚くことに、ピッコロも同じです。
ピッコロがナメック星人なのも後から作られた

ピッコロ大魔王が初登場した時点では、ナメック星人という設定は存在していませんでした。
鳥山明氏によれば、神様を登場させた頃に、ピッコロと神様を地球外から来た存在にしようと考えたそうです。
面白いのは、その後のつじつまの合わせ方です。
ナメック星の最長老が座っていた椅子は、ピッコロ大魔王が使っていた椅子に似ています。
鳥山明氏は「ピッコロ大魔王に故郷の記憶が少し残っていたのではないか」と考え、ピッコロ大魔王の椅子をもとにナメック星の建物や宇宙船のデザインを作ったと説明しています。
最初から張られていたように見える伏線が、実は後から過去の描写につなげられていたわけです。
人造人間編の敵は編集者の一言で何度も変わった
人造人間編は、『ドラゴンボール』の制作秘話の中でも特に有名なエピソードがあります。
鳥山明氏が最初に中心となる敵として考えていたのは、人造人間19号と20号でした。
ところが以前の担当編集だった鳥嶋和彦氏から、老人と太った人物では迫力が足りないという趣旨の指摘を受けます。
そこで17号と18号を登場させましたが、今度は若すぎるという反応を受け、セルが誕生しました。
なお、この時点で鳥嶋氏はすでに『ドラゴンボール』の担当編集ではありません。
鳥山明氏自身も、担当ではない鳥嶋氏からわざわざ電話がかかってきたことを笑いながら振り返っています。
ところがセルが登場しても変更は終わりませんでした。
当時の担当だった近藤裕氏から第一形態について変身を求められ、第二形態になると今度は見た目について厳しい意見が出ます。
その結果、現在よく知られている完全体セルが完成しました。
鳥山明氏は第二形態セルも気に入っており、本当はもう少し活躍させたかったそうです。
もし編集者たちの感想が違っていれば、人造人間編は現在とはまったく違う物語になっていたかもしれません。
悟飯は本当に悟空の後継主人公になる予定だった
セルとの戦いが終わったあと、物語は高校生になった悟飯を中心に再スタートします。
これは一時的な演出ではありません。
鳥山明氏は、本当に悟飯を新しい主人公にするつもりだったと明かしています。
ところが実際に悟飯を中心として描いてみると、鳥山明氏自身が「悟空と比べて主人公には向いていない」と感じ、再び悟空を中心に戻しました。
ここから「悟飯の人気がなかったので編集部から降ろされた」という説も広まりました。
しかし、その説を裏付ける作者発言は確認されていません。
むしろセルゲーム終盤に行われた『週刊少年ジャンプ』の人気投票では、悟飯が悟空を上回って1位になっています。
つまり、少なくとも確認できる資料では、人気低下ではなく鳥山明氏自身の判断だったと考えるのが自然です。
超サイヤ人の金髪は作画を楽にするためだった
フリーザとの戦いで悟空が初めて超サイヤ人になった場面は、作品を代表する名シーンです。
黒かった髪が金色になり、大きく逆立つことで、一目見ただけでも別次元の強さになったと分かります。
しかし、この髪色には非常に現実的な理由がありました。
漫画原稿では悟空の黒髪を毎回黒く塗る必要があり、その作業にアシスタントの時間が取られていたのです。
そこで鳥山明氏は、超サイヤ人になると髪を黒く塗らなくてよいデザインを考えました。
作業時間を減らせるうえ、見ただけで変身したことも分かります。
世界でもっとも有名な変身姿のひとつが、週刊連載の作業を少しでも楽にする工夫から生まれたのです。
超サイヤ人の「50倍」は鳥山明氏の感覚では10倍ほどだった
超サイヤ人になると、通常状態の約50倍の力になるという設定は有名です。
しかし鳥山明氏は後年、この50倍という数字について、少し大げさだったという趣旨の説明をしています。
実際に漫画を描いていた時の感覚では、それまでの悟空の10倍ほど強くなったつもりで描いていたそうです。
もちろん、公式資料で示されている50倍という設定そのものを10倍へ変更したという意味ではありません。
「作者が頭の中で感じていた強さ」と「設定上の数字」がかなり違っていたという話です。
戦闘力の数字を細かく考察しているファンにとっては、非常に興味深い発言ではないでしょうか。
ランチが消えた理由は「作者が忘れていた」から
くしゃみをすると性格も髪の色も変わるランチは、初期の『ドラゴンボール』を代表する人物のひとりでした。
ところがサイヤ人編に入ると、ほとんど姿を見せなくなります。
鳥山明氏は後のインタビューで、ランチについて一時的に完全に忘れていたと説明しました。
その後に存在を思い出し、天津飯を追って行ったことにしたそうです。
ところが、この話には少し不思議な点があります。
ランチは第23回天下一武道会の終盤まで普通に登場しており、そのすぐ後には天津飯を追って行ったことも作中で説明されています。
つまり、実際の連載では長期間忘れられていたわけではありません。
そのためファンの間では、「鳥山明氏自身が後年、ランチを忘れた時期について勘違いしていたのではないか」とも考えられています。
作者本人が「忘れていた」と語っているのに、漫画を確認すると少し話が合わないという珍しい裏話です。
『ドラゴンボールZ』の「Z」は「これで終わり」の意味だった
アニメでは、悟空が大人になるまでが『ドラゴンボール』、ラディッツ登場以降が『ドラゴンボールZ』として放送されました。
この「Z」については、「究極を表している」「最高という意味」など、さまざまな説が語られてきました。
しかし鳥山明氏が説明した理由は、かなり違います。
アニメスタッフからタイトルを変えたいと言われ、アルファベット最後の文字である「Z」を選びました。
当時の鳥山明氏はすでに連載を終わらせたい気持ちがあり、「これでおしまい」という意味でZを付けたそうです。
その後、作品はそこからサイヤ人編、フリーザ編、人造人間編、魔人ブウ編へと続いていきます。
「最後」を意味して付けられたZが、結果として世界中で知られるタイトルになったのは面白いところです。
バーダックはアニメから原作へ逆輸入された
悟空の父として知られるバーダックですが、もともとは鳥山明氏が原作漫画のために作った人物ではありません。
バーダックは1990年に放送されたTVスペシャル『ドラゴンボールZ たったひとりの最終決戦』で生まれました。
鳥山明氏も後に、バーダックはアニメ側から生まれた人物だったと認めています。
そして鳥山明氏は、このTVスペシャルを高く評価しました。
自分では描かないようなドラマ性のある物語が気に入り、その設定を原作漫画にも取り入れたのです。
そのため原作のフリーザ編にも、バーダックらしき人物がわずかに登場しています。
普通は漫画からアニメへ設定が渡りますが、バーダックはアニメ側から原作へ入ってきた珍しい人物でした。
フリーザのモデルはバブル時代の「地上げ屋」
宇宙の帝王フリーザは、ただ強いだけの敵ではありません。
配下に惑星を襲わせ、その星を商品として扱うような仕組みを持っています。
この発想には、鳥山明氏がフリーザを作った当時の日本社会が関係していました。
鳥山明氏によると、バブル経済期に社会問題となっていた「地上げ屋」からフリーザの発想を得たそうです。
地上げ屋とは、土地を買い集めるために強引な方法を使う業者などを指した言葉です。
鳥山明氏は当時もっとも悪い印象を持っていた存在をもとに、「宇宙一の地上げ屋」としてフリーザを作りました。
惑星を次々に手に入れるフリーザ軍の行動にも、現実世界の社会問題が反映されていたのです。
ギニュー特戦隊は鳥山明氏の子どもが好きだった戦隊ものから誕生
フリーザ軍の中でも強烈な印象を残したのが、ギニュー特戦隊です。
圧倒的な力を持っているのに、全員で妙なポーズを決めるという独特の集団でした。
あの姿には、当時の鳥山家が関係しています。
鳥山明氏の子どもが戦隊ヒーローを非常に好きで、鳥山氏も一緒に見ていたそうです。
敵をただ強くしていくだけでは大変になっていたこともあり、その戦隊ヒーローの要素を作品へ取り入れてギニュー特戦隊を作りました。
5人が並んで名乗りながらポーズを取る理由も、これを知ると納得できます。
フリーザ編でも特に異色な集団は、鳥山氏の家庭で見ていたテレビ番組から誕生したのです。
大人になった悟空は編集部から反対されていた
第23回天下一武道会では、それまで子どもだった悟空が一気に成長した姿で登場します。
現在では当たり前の展開ですが、当時の漫画では主人公の見た目を大きく変えることは危険だと考えられていました。
そのため編集側は、悟空を大人にすることへかなり慎重だったそうです。
しかし鳥山明氏には大きな理由がありました。
子どもの体形では、本格的な格闘シーンを描くのが難しかったのです。
そこで大人になった悟空の案を編集部へ送り、返事を待つ前に原稿まで進めてしまいました。
修正する時間がないところまで描いたため、最終的にはそのまま採用されたと鳥山氏は振り返っています。
もし編集部の意見が通っていれば、ラディッツ以降も少年姿の悟空が戦っていた可能性があります。
「かめはめ波」の名付け親は鳥山明氏ではなく妻だった
『ドラゴンボール』でもっとも有名な技といえば、やはり「かめはめ波」です。
ところが、この名前を考えたのは鳥山明氏ではありません。
鳥山氏が亀仙人の技なので「カメ」を使った名前を考えていたところ、妻のみかみなち氏が「かめはめ波」を提案しました。
鳥山明氏は面白いと感じ、そのまま採用したそうです。
この話は単なるうわさではありません。
2019年にNHKの番組から質問を受けた際にも、鳥山明氏本人が書面で回答しています。
世界中で真似されることになる技の名前は、夫婦の会話から生まれていました。
ミスター・サタンの本名は「マーク」
ミスター・サタンは、世界中の人々から英雄として扱われている格闘家です。
しかし「ミスター・サタン」は本名ではありません。
公式設定によればリングネームで、本当の名前は「マーク」です。
日本語で「マーク」を並べ替えると「アクマ」になります。
サタンというリングネームにつながる鳥山氏らしい言葉遊びです。
さらにサタンが暮らしている地域では、日本のように名字と名前へ分ける習慣がないため、名字もありません。
正式には「マーク」だけということになります。
原作を最後まで読んでも明かされない、公式ガイドで判明した設定です。
17号と18号には人間だった頃の名前がある
人造人間17号と18号は完全な機械として作られた存在ではなく、もともとは普通の人間でした。
さらに二人は双子です。
人間だった頃の名前も設定されており、17号は「ラピス」、18号は「ラズリ」といいます。
二つをつなげると「ラピスラズリ」となり、青色の宝石の名前になります。
原作本編では17号と18号という呼び名しかほとんど使われないため、本名を知らない読者も多いのではないでしょうか。
現在ではドラゴンボール公式サイトでも、17号が双子の弟、18号が姉であることと合わせて紹介されています。
「フリーザ編で終わる予定だった」は本当なのか
『ドラゴンボール』について語られる有名な都市伝説のひとつが、「本当はフリーザ編で完結する予定だった」という説です。
超サイヤ人への覚醒、サイヤ人とフリーザの因縁、崩れていくナメック星など、最終章のように見える要素が多いため、非常に信じられやすい話でもあります。
しかし「鳥山明氏がフリーザ編を最終回として準備していた」と断定できる信頼性の高い資料は確認できません。
ネット上では、鳥山氏が「自分の希望ならフリーザ編で終えていた」と答えたインタビューも長く出回っていました。
ところが、その文章の出典とされた「Super Otaku Magazine」は実在が確認できず、偽のインタビューとして知られています。
一方で、鳥山明氏が『ドラゴンボール』を最初から長期連載として計画していなかったことは事実です。
連載開始時には「1年くらいで終わるだろう」と考え、事前に用意していたネームも3話分ほどだったと語っています。
つまり、『ドラゴンボール』そのものが細かい最終地点を決めて進んだ作品ではありません。
毎週物語を考えながら、それまでに描いた設定を後からつなげ、想像を超える長期作品へ成長していったのです。
「フリーザ編が本来の最終回だった」と事実のように語るより、「最終回説として有名だが、確認できる資料では断定できない」とするのがもっとも正確でしょう。
ドラゴンボールの裏設定まとめ
『ドラゴンボール』は、最初からすべての設定が決められていた作品ではありません。
悟空のサイヤ人設定やピッコロのナメック星人設定まで後から考えられ、人造人間編では編集者とのやり取りによって敵そのものが次々に変更されています。
一方で、過去の描写を利用して新しい設定につなげる鳥山明氏の工夫によって、後付けとは思えないほど世界観が自然につながりました。
さらに、超サイヤ人の金髪が作画時間の短縮から生まれたり、ギニュー特戦隊が家庭で見ていた戦隊番組から誕生したりと、壮大な物語の裏側には意外なほど身近な理由も隠されています。
こうした背景を知ってから読み返すと、「これは最初から考えていたのか、それとも後からつながったのか」という新しい楽しみ方ができる作品です。

世界中で人気の鳥山明氏の名作『ドラゴンボール』を楽しめる完全版・全34巻完結セット。
悟空たちの冒険や迫力あるバトル、数々の名場面を最初から最後まで一気に味わえます。
何度でも読み返したくなる、手元に置いておきたい名作セットです。





















